不注意

大人に比べて、幼い子どもが注意を持続できる時間は短く、気が散りやすいことは普通です。誰にでも、注意を持続したり、集中して作業を続けたりすることが難しい時があります。

不注意とは、作業を開始、継続、終えることに対する困難が頻繁にあることです。また、注意を向けて話を聞くことや、物事を整理すること、計画的に行動することの困難も含みます。気が散りやすい、忘れ物が多い、物を頻繁に失くすこと、なども不注意の症状です。青少年や大人においては、時間感覚に問題があり、先延ばし傾向や十分な時間を見積もらないために、やるべき事を終わらせるのが困難であることが多くあります。

不注意の困難が見られる子どもを支援する方法は?

  • 課題を始める前に、指示を繰り返したり友達と確認させ合ったりなどして、何をやるべきか子どもが理解しているか確認する。
  • 子どもが課題に集中出来ている時や課題を終えたすぐ後に、褒めたり応援の言葉がけをする、親指を立てて「いいね」のサインを示す、ノートに星や花丸を書く、小さな賞品などの報酬を与えたりして、適切な行動に注意を向ける。
  • グループ作業や、子ども自身が興味を持っている課題を選ばせることが効果的な場合がある。
  • 学習教材を多様化(視聴覚教材、コンピュータ、ビデオ、DVD、雑誌、新聞、本)させると、子どもの興味をひき、注意力の持続に効果がある。
  • 不注意の困難がある子どもを教室の前列、できれば教師の近くに座らせることにより、気が散るようなものが目に入りづらいようにする。
  • 前もって、子どもの注意を引く時の合図を決めておく。例えば、子どもが課題に集中していないことに教師が気づいたら、その都度、教師が子どもの肩を軽く触る。
  • 忘れてしまうことを思い出せるように工夫する。例えば、課題提出の日付を書いた表を作ったり、付箋紙にリマインドやメモを書いたりする。
  • 課題のプリントや教科書、試験の最も重要な部分にラベルをつけたり、ハイライトしたり、下線を引いたり、色をつけたりするように促す。

学習とメタ認知スキル

  • 学習方法を教える時は、分かりやすくゆっくりと説明する。例えば、まとめの文章などを書く時に、辞書や参考資料、ノート、新聞記事、本からの引用の仕方を説明して、やってみせる。
  • 明確で到達可能な目標を設定し、課題やプロジェクトの進み具合を子どもが自分で確認できるようにする。子どもが自分自身の学習について振り返り、自分に適した学習方法を見つけることを促すためである。

支援を妨げる可能性があることは?

  • 間違いを失敗として批判すること。ADHDを持つ子どもには、サポート、励まし、協力、支援が必要である。子どもの自尊心を育てるように接することが大切である。教師の前向きな態度が、子どもの学習を促す。
  • ドアや窓の近く、教室の後方の列に座らせると、気が散る原因となる物が目や耳に入りやすい。
  • 複数の宿題を一度に出す。課題が多い、終わらせるのに時間がかかると思うとやる気を無くしてしまう。
  • 子どもが服薬している場合、子どもの同意なしで、他の子どもの前で薬について話したり服薬させたりすると、偏見の助長につながる。

整理・学習のテクニック

  • 指示は分かりやすくゆっくりと出し、子どもが効率的な学習習慣を身につけられるよう工夫する。日誌、カレンダー、付箋紙、ノート、携帯電話の音声リマインド機能などの使用が効果的な場合がある。
  • 子どもがノートや机、ロッカーを整理したり、大切な書類をしまったりする際に、できているか確認し、必要であれば支援する。
  • 子どもや保護者に、ノートや本を教科ごとに違う色の紙で覆ったりするなどの工夫を教える。
  • プリントやワークシートを持ち運ぶ際に、紛失を防ぐために一カ所にまとめて、クリアフォルダーなどを使うことを勧める。
  • 教師と保護者の連絡手段として日誌を使用する。子どもの家での行動の情報は教師とって、学校での行動の情報は保護者にとって非常に役立つものである。
  • 大きな課題は、小さく区分けして、部分ごとに分けて終わったか状況を確認する。注意欠如多動症(ADHD)がある子どもは、長い時間かかる課題が苦手な場合が多くある。
  • チェックリストやスケジュール帳など、計画や整理に役立つ物の使い方を教える。保護者に、子どもが物事を整理し宿題を終わらすことができるようするための支援方法を共有する。