メンタルヘルスの問題とは?
子どもたちはみんな、ポジティブな感情もネガティブな感情も経験し、良い考えも悪い考えも抱き、適切な行動をとることもあれば不適切な行動をとることもあります。このような感情・考え・行動は、大抵の場合、状況や出来事に対する反応であり、日常生活の一部であってメンタルヘルスの問題によるものではありません。
しかし、場合によっては、ネガティブな感情が強すぎたり、頻繁に起こりすぎたり、長引いたりすることにより、対人関係や学業やその他の活動に支障をきたすことがあります。
また、自分自身に対して否定的な考えや自分では制御できないネガティブな考えが、情緒や行動の問題につながることもあります。
そして、学校場面に不適切とされる行動をとってしまうことにより、他の子どもたちや先生との関係性に問題が生じ、孤立してしまうこともあります。
これらは、子どもたちのメンタルヘルスの問題へとつながります。

子どものメンタルヘルスを悪化させるもの、改善させるものとは?
私たちのメンタルヘルスは、成長を通じて様々な要因に影響されます。遺伝的要因もあれば、養育環境、教育、身体活動、他の人々や地域社会とのつながり、などによる影響もあります。心の健康を促し、問題を予防するためには、保護因子を増やし、危険因子を減らすことが重要です。
保護因子
- 文化的な活動(例:読書、芸術)
- スポーツ
- 友情
- 他人を思いやること
- 安全で愛情に満ちた環境にいること
危険因子
- 愛情や思いやりが欠けていること
- 明確なルールの欠如
- 暴力(いじめを含む)
- 偏見(人種差別、同性愛嫌悪など)
- 社会的孤立
- タバコ、酒類、違法薬物の使用
学校でよくみられるメンタルヘルスの問題
学校でよくみられるメンタルヘルスの問題は、大きく2つに分けられます。
1) 内在的・情緒的な問題は、下記のような形で現れます。
- 過剰な心配
- 恐怖心
- 過度に内気
- 信頼している人から離れることへの不安
- 悲しみ、落胆、喜びの喪失
- 苛立ち
2) 外在的・行動上の問題は、下記のような形で現れます:
- 攻撃性、規則に従うことの困難
- 不注意
- 多動性/衝動性
- 自傷行為
- 酒類や薬物の使用
また、下記のような重大な状況があることもあります:
- 社会的孤立
- いじめ
- 虐待、暴力
- 自己イメージや食行動の問題
否定的な感情・不快な考え・問題行動も、健全な成長過程の一部です。しかし、その頻度が高すぎたり程度が過ぎたりするために日常生活、学業、家族や友人たちとの関わりに悪影響を及ぼす場合にのみ、これらは問題を示します。
さらに、感情・思考・行動を問題と判断するかどうかは、子どもが置かれている状況を考慮する必要があります。例えば、自分に対して繰り返し行われている不公平な状況に怒りを感じるのは、適切な感情反応です。そのような場合、最善の子どものメンタルヘルスのサポートの方法は、子どもの感情や考え、行動を変えるのではなく、状況の改善であることが多くあります。

また、子どもがメンタルヘルスの問題を抱えているかを確認する際には、大人が個別に十分な注意を向けて話を聞く時間を取ることが重要です。デリケートな話題について率直に話をする機会を作り、子どもの視点や経験を理解することが極めて大切です。